1日200名のタクシー出勤を支えるDX。羽田空港の裏側を変えた、タクシー運用のデジタル化

1日200名のタクシー出勤を支えるDX。羽田空港の裏側を変えた、タクシー運用のデジタル化

日本の空の玄関口、羽田空港。その安定的な運営は、早朝から深夜まで働く多くの従業員によって支えられています。その中でもANAグループの空港地上支援業務を担う羽田空港国際旅客サービス株式会社では、電車やバスが動いていない時間帯に勤務する従業員のため、1日約200名がタクシーを利用するとのこと。これまでアナログな紙のタクシーチケットで運用してきましたが、管理の煩雑さや利用実態の不透明性など、多くの課題を抱えていました。

今回、『GO BUSINESS』の導入によって、これらの課題をいかにして解決したのか。現場の業務を統括する業務部マネージャーの山本雅史さま(写真左)と、本社で総務を担当するマネージャーの箕浦拓朗さま(写真右)にお話を伺いました。

目次 [隠す]

    課題

    • 紙のタクシーチケットの運用では、誰が・いつ・どこで使ったかを正確に把握するのが困難だった
    • 毎月数百枚に及ぶチケットの確認・集計は膨大な作業で、外国籍スタッフのメモなど判読が難しいものもあった
    • 従業員とのチケット交換や紛失、意図しない利用リスクがあり、内部統制上の課題を抱えていた

    実施策

    • タクシーチケットに関連する業務の改善を検討する中で、提携タクシー会社から『GO BUSINESS』を紹介され、導入を決定
    • まずは10名程度の従業員で試行を開始し、アプリ利用に不安がある従業員へのフォローを重ねつつ、全社利用へ展開
    • アプリを使えない従業員には「GOチケット」などを活用し、タクシー運用のデジタル化を実現

    効果

    • タクシーチケットの検収業務が「3人がかりで丸1日」から「2人で1時間」に大幅短縮
    • タクシー利用の全実績が管理画面で可視化され、誤利用・不正利用の抑止力として機能
    • チケットの受け渡しや、手書きでの記録・精算といったアナログな作業が一切不要となった

    1日200名が利用。羽田空港の安定運行を支えるタクシー出勤

    羽田空港国際旅客サービスさまの事業内容と、山本さま、箕浦さまの役割について教えてください。

    山本さま 私たちは、羽田空港の第2、第3ターミナルを拠点として、ANA(全日本空輸株式会社)グループの空港地上支援業務を担っています。

    車いすをご利用のお客様のケアや、お子様の一人旅のサポート、保安検査場でのご案内、国際線カウンターでの搭乗手続きから出発・到着ロビーでのご案内まで、空港でお客様が円滑に過ごせるよう多岐にわたる業務を手がけています。

    私は業務部のマネージャーとして、生産管理を担当しています。日々の稼働状況の管理や、将来の就航便数の増減に合わせた人員計画の策定などを行っています。ただ、現場(羽田空港)を支える社員は部長を含めても9名と少数精鋭のため、社員証の管理からタクシー関連業務まで、何でも屋的に働いているのが現状です(笑)。

    箕浦さま 私は羽田空港サービスグループの総務部マネージャーとして、本社の立場からグループ会社全体を見ています。福利厚生の整備や、現場からの様々な要望に応える窓口業務が中心です。

    従業員が働きやすい環境を整えるのがミッションで、私も何でも屋として山本と密に連携しながら働いています。

    少数精鋭で幅広い業務をカバーしているのですね。貴社はどのようなシーンで、タクシーを利用することが多いのですか?

    山本さま 一番多いのは早朝の出勤です。羽田空港の始発便は朝6時台に出発します。それに合わせて準備をするとなると、始発電車では到底間に合いません。そのため、タクシーでの出勤が必要不可欠になります。

    深夜勤務で対応するという選択肢もあるかと思いますが、なぜ早朝のタクシー利用を選択しているのですか?

    山本さま 私たちがサポートしている航空会社の便は、深夜帯が少ないんです。そうなると、夜勤にしても業務がない時間帯が生まれてしまい、生産ロスが大きくなってしまいます。従業員の立場からしても、心身への負担が大きい夜勤は避けたいものです。

    そのため、従業員に無理なく働いてもらい、かつ生産ロスをなくすためには、タクシー利用が最も合理的だという結論に至りました。

    とはいえ、夜遅くに到着する便もあるため、従業員の帰宅時間が遅くなることもあります。当社は女性の従業員が多く、安全に帰宅してもらうためにタクシーを利用しています。

    1日あたりどれくらいの従業員がタクシーを利用しているのですか?

    山本さま 夜はそれほど多くありませんが、朝の出勤では1日に60〜70台のタクシーを手配しています。ほとんどが相乗りなので、人数にすると200名近くになります。

    空港近くでタクシーを見かけたら、ほとんどが航空会社の人間を運んでいると思ってもらっていいかもしれません(笑)。それくらい、私たちにとってタクシーは日々の業務を支える生命線なんです。

    「これ、無駄ですよね?」タクシー手配に関連するアナログ運用からの脱却を即決

    『GO BUSINESS』導入前は、多数の従業員が利用するタクシーをどのように手配し、領収書を精算していたのですか?

    山本さま タクシーの手配は、各部署にいるタクシー担当者が行っています。勤務シフトに応じてタクシーに乗車する従業員をリストアップし、提携のタクシー会社にメールで依頼するという流れです。

    そして、タクシー会社側で従業員の所在地を確認し、送迎ルートを作成して従業員をピックアップします。

    従業員にはあらかじめ、タクシーチケットの束を渡しておき、降車時に精算します。タクシーは基本相乗りで利用するため、乗車メンバーのうち一人が代表してチケットを使用して、乗降場所と氏名、料金を記入するんです。

    その運用方法で、どのような課題がありましたか?

    箕浦さま 一番の課題は、管理が極めて難しいことでした。誰が、いつ、どこからどこまで利用したのかを手書きの記録だけで把握するのは、多大な労力がかかっていました。

    山本さま 特に重大だったのは、乗降場所や氏名、料金などの文字が「読めない」というものでした。当社には17カ国の外国籍の従業員が在籍しており、日本語の読み書きが苦手な人もいます。そうした従業員に、日本語で正確に記入してもらうことは大きなハードルでした。

    箕浦さま それに、タクシーチケットはいわば「お金」と同じです。それを個人に束で渡しているわけですから、ガバナンスの観点からも大きな課題を抱えていました。

    タクシーチケットの交換も、現場に行って従業員と対面して受け渡す必要があります。この物々交換によって、私たちにも従業員にも大きな時間のロスが生まれていました。

    ちなみに、毎月どれくらいの枚数の使用済みチケットを受け取っていたのですか?

    山本さま 本社に届く使用済みチケットは毎月、紙袋2つ分くらいの分量になっていたと思います。大量のチケットの検収作業に、3人がかりで丸1日の時間を要していたんじゃないでしょうか。

    従来のタクシーチケット運用から、『GO BUSINESS』へ切り替えた経緯を教えてください。

    山本さま 私が業務部に着任してすぐに、従来の業務フローは「どう考えても無駄が多い」と考え、提携していたタクシー会社に相談したんです。単刀直入に「このチケット運用、どうにかなりませんか?」と相談すると、即答で『GO BUSINESS』を紹介してくれました。

    プライベートで『GO』を利用したことがあったため、その利便性はすでに知っていました。そんなサービスが法人利用できるのだから、すぐに導入すべきだと感じましたね。

    箕浦さま 私もDX化の一環として、ペーパーレスを進めたいという想いが強くありました。『GO BUSINESS』で紙のタクシーチケットを使わずに済むという提案は、非常に魅力的でした。

    現場のお二人の意見は一致したわけですね。

    箕浦さま その後、経営層への稟議も驚くほどスムーズに進みました。経営層にも『GO』利用者が多く、特に大きな反対意見や懸念点があがることもなく、導入が決定しました。

    900名への全社展開。多様な従業員に寄り添った導入プロセス

    『GO BUSINESS』導入はどのように進めていきましたか?

    山本さま まずは10名強のスターティングメンバーで試行を始め、オペレーションに問題がないかを確認しました。その後、段階的に利用対象を広げ、最終的には約900名の全従業員を対象に本格導入しました。

    導入については賛否両論ありましたが、どちらかといえば賛成の声が多かったです。もともとプライベートで『GO』を利用していた従業員が3割以上いて、その従業員たちは抵抗なく受け入れてくれました。

    反対の意見はどのようなものだったのでしょうか?

    山本さま 反対意見には、個人のスマートフォンを業務で利用することへの抵抗感や、セキュリティ面への不安の声がありました。そうした点については丁寧に説明を重ね、理解を得ることができました。

    一部、業務でスマートフォンを使用できない従業員もいましたが、全体の1%ほどと、ごく少数でした。そうしたケースには、『GO』のデジタルタクシーチケット「GOチケット」を活用して対応しました。

    こうした一つひとつのイレギュラーに対応した結果、最終的に紙中心の運用から移行することができました。

    データの見える化による劇的な業務改善とガバナンス強化

    『GO BUSINESS』導入による最大の効果は何でしょうか?

    箕浦さま 最も大きな効果は、管理業務の劇的な効率化です。これまで、タクシー利用の実態は大量のタクシーチケットを検収し、一枚一枚確認するしかありませんでした。しかし今では、『GO BUSINESS』の管理画面を見れば、誰が、いつ、どこからどこまで乗って、料金はいくらだったのかすぐに確認できます。

    請求書も1枚にまとめて管理できるため、本社総務としての手間も大幅に削減されました。

    山本さま 定量的な効果で言うと、検収作業の時間が圧倒的に短縮されました。先ほど、タクシーチケットの検収業務にかかる工数を「3人がかりで丸1日」と表現しましたよね。『GO BUSINESS』導入後は、その作業が2人で1時間もあれば完了します。

    それは劇的な変化ですね。

    箕浦さま 急な出張など、予定外にタクシーを使わなければならない場面でも『GO BUSINESS』は便利です。以前はタクシーチケットを持っていない従業員が、自己負担で立て替えて後日精算するという手間が発生していましたが、今は『GO』アプリからすぐに請求書払いで利用できます。

    山本さま また、『GO BUSINESS』の導入はガバナンスの強化にもつながっています。

    わずかな件数ではあるものの、これまでタクシーチケットが意図しない用途で使用されるというケースがありました。また、タクシーチケットの紛失といった事態も起こるなど、細かなトラブルの発生リスクをずっと抱えていたんです。

    しかし『GO BUSINESS』で利用状況が可視化されることで、「会社がタクシー利用状況を把握している」という意識が従業員に芽生えたのでしょう。それが不正利用の抑止力となっているのを、管理画面から感じられます。

    データの見える化が副次的な効果を生んでいるのですね。『GO BUSINESS』活用について、今後の展望などはありますか?

    山本さま 『GO BUSINESS』に蓄積されている乗降データを活用して、より最適なコスト計画を立てていきたいです。どの時間帯に、どのエリアで、どれくらいの相乗り率でタクシーが運行されているのかを詳細に分析すれば、もっと効率的な手配ルートを作れるはず。

    データに基づいてタクシー利用の効率化をさらに推進して、コスト削減につなげていきたいですね。

    箕浦さま 私は、今回の成功事例をグループ会社にも展開していきたいと考えています。弊社が属する羽田空港サービスグループは、羽田空港をはじめ、福岡空港や新千歳空港など、全国の主要空港施設で事業を展開しています。

    現在、『GO BUSINESS』を利用しているのは羽田空港国際旅客サービスのみですが、今後は他のグループ企業にも導入を促すことで、グループ全体の業務効率化とガバナンス強化につなげられると期待しています。

    ごくわずかではありますが出張といった移動も発生しますので、そういったシーンでも全グループで活用できたらと考えています。

    ありがとうございます。最後に、同じような課題を抱える企業のご担当者様へメッセージをお願いします。

    山本さま 航空業界に限らず、旧来のやり方が当たり前になっている業界は多いと思います。特にタクシーの手配や精算業務で、いまだに紙の伝票やチケットを使っている企業は少なくないのではないでしょうか。

    そうしたアナログな業務フローを劇的に改善してくれるのが、『GO BUSINESS』の魅力です。当社の場合、タクシーの手配については提携しているタクシー会社にメールで依頼するという従来の方法を残しつつ、支払いや精算にまつわる業務をデジタル化しました。

    『GO BUSINESS』ではこうした柔軟な組み合わせでの導入も可能です。ぜひ現状の当たり前を疑い、新しい風を取り入れる一歩を踏み出してほしいと思います。

    箕浦さま 『GO BUSINESS』をきっかけに、DX化という新しい働き方の形を取り入れることができたと感じています。「DX」というと難しく聞こえるかもしれませんが、まずは身近な課題から一歩踏み出してみること。その一歩が、きっと想像以上の効果を生むはずです。

    • 掲載内容は取材当時の情報です。

    羽田空港国際旅客サービス株式会社 は、羽田空港における旅客サービス業務を中心に、接遇・案内・サポートなどの幅広い空港運営支援を行っています。国内外から訪れるお客さまに安心と快適を提供することを使命とし、グループ各社と連携しながら、サービス品質の向上と業務の効率化に取り組んでいます。

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